感染・汚染防止

清潔なイメージを持つ白衣は汚れを引き受けてくれる役目もあります。

OKをする女性

お医者さんの作業着である白衣は下着や素肌の上から着て、治療中は一番外側に 位置するのも見れば誰でもわかることです。 なので出血を覚悟しなければならないような外科医院での治療をした場合、汚れ を引き受けてくれるのは白衣になります。 工場では私服で作業せず、汚れてもいい作業着でオイルにまみれて働くのと同じ ことで、私服のポロシャツやトランクスが返り血を浴びて汚れないために白衣と いう作業着を着用してお仕事をするのです。 外科医院でなくても患者が出血したり唾液などの液体を排出することはあるので、 どの病院でも同じように白衣をユニフォームとしています。 歯科医院なら患者さんの口を大きく開けながらの治療になりますし虫歯の治療や 抜歯ではなにかしらの液体が医師の方へ飛んでくることも充分考えられます。 そうしたことの対策として白衣に身を守ってもらうという意味があるのです。 いくら治療のためとはいえ私服が汚れることは嬉しくありませんし、避ける方法が あればそれを採用するのは当たり前のことです。 天ぷらを揚げる料理人はエプロンをかけますし、看板や外壁を塗装する職人さんも 自分の衣類に塗料が付着しないようガードしています。 それと同じことで、威厳を感じさせる白衣も作業服のひとつなのです。 また汚れだけでなく感染防止という意味合いも持っています。 感染性の病原菌を体内に宿す患者さんを診察することも多いので、その最中には 体液からウイルスがこちらに感染する危険もあります。 故意にうつしてやろうとしなくても、会話をしたりくしゃみをすれば唾液が飛び 周囲にウイルスを飛散させてしまいます。 常時マスクをしていればその危険も軽減されますが100%カットは不可能ですし 口内を診察することもあるので、なにかしらの対策は不可欠です。 直接医師の体内にウイルスが飛び込んでこなくてもお洋服に付着する可能性は 拭いきれず、それが私服であったらお昼休みや就業後に第三者へと感染を拡大 させる危険も増加します。 なのでウイルスから身を守り、そして外部へ持ち出さないために白衣で患者さんを 診断するというのが正しい行動なのです。 その白衣でお出掛けするようでは無意味ですが、院内で飛散するウイルスは白衣 に留めておき、外出する時には脱ぐのです。 たまに白衣のままみんなが集まる食堂や喫茶店でランチを食べる姿を見かけますが、 もしそれが虫歯治療や風邪の治療をしている先生で患者さんを診た白衣のまま やってきているのだとしたら、周囲で食事している人にとって本当に迷惑な話 になるので誰かが注意してあげたほうがいいでしょう。 細菌向けの作業着なので病原菌が付着していると考えなければならず、そのまま 食事をするなんて正気の沙汰ではありません。 本人が感染するのは勝手ですが他の看護婦さんや同僚まで感染させてしまうリスク があるので、使用済み白衣は決められた場所から外部へ出る場合は脱衣が基本です。 一応汚れていたらそこにウイルスが付着しているおそれあり、と判断できるので、 白衣の色は白がいいという考えはここからきています。 汚れが目立つ白なら汚染されていそうならすぐに発見できる、ということですが 視力が悪かったり色盲でなければあまり気にしなくてもなんとかなるので、 お子様向けの病院は純白に拘らす色付きの白衣を採用して幼児のご機嫌をとる、 その戦略もありかと思われます。 汚染や感染を早期発見しやすいのが白色なだけで、色によってウイルスが集まり やすかったり活発に活動しやすくなるわけではありません。 なので勇気を出してピンクの看護婦さんに仕立て上げるのもいいと思います。